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【マクの約束】




メメント森は今日もとってもいい天気。
朝のお日様が元気に笑うと
森がぽかぽかとあたたかくなります。




メメント森に、マクという
小さな優しいくまが暮らしていました。




あさひいろのカーテンをあけて深呼吸。
「気持ちいい朝だなぁ。」




マクの最近の日課は畑仕事。
朝起きると畑に行き、水をあげて土を耕します。

今日は金木犀の苗を植えました。
立派な木が育ち、花が咲くのが楽しみです。

マクの畑にはガーベラや沈丁花、桜など、
季節の花がたくさん植えられています。




マクは畑仕事を終えると、メメント森1番の発明家、
ウータン博士の家に遊びに行きました。

「おぉマク、ちょうどいいところに来た。
今しがたタイムマシーンが完成したところなんじゃ。」

「へぇー、これがタイムマシーン!?
博士、いつも失敗ばかりしているのに、今回はすごいね!」

「ふむ、いつも失敗はよけいじゃ。ちょっと乗ってみんか?
過去と未来、どちらに行ってみたい?」

「じゃあ博士、僕が生まれたころに戻って
お父さんとお母さんに会いに行ってもいい?」

「じゃあ博士、僕が生まれたころに戻って
お父さんとお母さんに会いに行ってもいい?」

マクは小さいころからずっとひとりぼっちだったので
お父さんとお母さんに会ったことがなかったのです。

「よし、わかった。ただし、会って話をしてはいかんぞ。
過去が変わってしまったら大変なことになるからのぅ。」

「うん、わかった。」

マクはお父さんとお母さんの顔を見ることが
できるだけでもとっても嬉しくなりました。




「よし、マク行ってこい!!」

どーん!!!




「ここが僕が生まれた頃のメメント森かぁ。
僕の家は、えーっと、こっちだ。」

自分の家を見つけたマクは
窓からそっとのぞいてみました。




うわぁ。 お父さんと、お母さんと。。。
あ、あの小さな男の子。あれは、赤ちゃんの僕だ。
お父さんは僕にそっくりだ。


お母さんはとってもきれいだなぁ。
赤ちゃんの僕はちっちゃくて可愛いなぁ。
お父さんもお母さんも僕も、みんな笑っている。

テーブルには
お母さんが作ったごちそうとケーキ。
美味しそうだなぁ。

あっ、僕にプレゼントを渡してる!
そうか、今日は僕の誕生日なんだ!




マクは小さな自分が
祝福してもらっている幸せなすがたを見て
涙があふれてきました。

本当はかけよって
お父さんとお母さんに
抱きしめてもらいたかったけど
"話をしてはいけない"
というウータン博士の言葉を思い出しました。




マクはお父さんとお母さんに
自分の気持ちを伝えたかったので
手紙を書くことにしました。

「お父さん、お母さんへ。 マクより。」

そして手紙を窓辺において
タイムマシーンに乗り込みました。




「おぅマク、お帰り。どうじゃった?」

「うん。お父さんと
お母さんの顔が見られて
嬉しかったよ。赤ちゃんの僕も
とっても可愛かったよ。」




「そうか、
それはよかった。。。

おや?」

「博士どうしたの?」

「マク、どうやらタイムマシーンは過去ではなく
未来に行ったようなんじゃ。おかしいのぅ。」

「博士、また失敗したの?」

「いやいや、わしらは未来に進むことは
できるが、過去に戻ることは
できんようじゃのう。
しかしおかしい。
そんならなぜ、未来に
マクオたちがおったんじゃろう?」

※マクオ・・・・マクのお父さんのなまえ




マクはお月様とのかえりみち
窓から見た 幸せな家族の風景を
想い出していました。




僕が未来で見た
お父さんとお母さんと赤ちゃんの僕は、
きっと、大人になった僕と、
僕の奥さんと、僕の子どもだったんだ。

僕もいつか大切な人と出会って結婚をして、
子どもが産まれてくるんだなぁ。

マクは未来の家族のことを
想って笑顔になりました。

マクは、いつか大人になったとき、
小さな自分がタイムマシーンに乗って
手紙を持ってきてくれることが
とっても楽しみになりました。




そしてその日までに、
"子どものころの僕からも、
僕の子どもからも、
誇らしく思ってもらえるような大人になろう"
とマクは自分と約束をしました。


おしまい。





作・わたなべ ゆう  絵・つよし ゆうこ












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